STUDIO44の近況報告

福岡を中心に活動するバンド。愛称はスタヨン。

もみあげエマージェンシー(後編)

みなさん、こんにちは。STUDIO44の萩原です。春の息吹を感じながら、今回は前回の続き。

さて、急いで家を出た甲斐があり、何とか港に時間通りに到着することが出来た僕らですが、ここでブラスバンド部のA君は別行動となり、先生を見送る為の演奏準備にかかりました。

往々にして全国のブラスバンド部がそうであるように、我が母校のブラスバンド部も9割を女子が占めており、A君は右もみあげに卑猥な単語を残したまま、担当楽器であるホルンのウォーミングアップを始めました。

僕らは遠巻きに彼の様子を観察していたのですが、さすがに高校三年生ともなると後輩に威厳を保っていて(今思い出したけど彼はたぶん副部長じゃなかったのか?)厳しく後進の指導にあたっていました。

「そこはリタルダント」「もっとレガートで」と右左見ながら一生懸命に指示を飛ばしているのですが、彼が右左を向く度、「S●X」「したい」の単語が露になり「SE●したい」という青年の主張を繰り返す事になるのでした。

その度に女子生徒が訝しげにA君を見るのですが、A君は一向に気づく事無く副部長として、自分の役職を全うしようと、お世話になった恩師が恩返しの意も込めながら演奏指導を続けます。「先生も今日で転勤、オレらも卒業だけど、お前らならきっとやれる!これからのお前らに期待しているぞ!」と言わんばかりに。

けど、熱くなればなるほど「●EXしたい」という青年の主張は強く繰り返され、まくりあげた二の腕からも性への強い執着が表現されることになり、そのまま本番の演奏と共に、フェリーは岸壁を離れ、たくさんの紙テープが甲板の先生の手から生徒にのびて、やがて千切れていくのでした。

フェリーが見えなくなった後、感極まった彼に種明かしをしました。

「マジで?!どおりで誰も目も合わせてくれないと思った…」と言いながら彼は手の甲でモミアゲをこすり、黒くなった頬を緩ませて笑うのでした。

以上が、高校三年生の卒業間際に僕の回りで起こった、というか起こしたエピソードの一つです。

しかし、こんな事ばっかしてた高校時代だったな。

あの時のブラスバンド部の後輩の方々、とりわけA君を慕っていて、あの日を境にA君を見損なっていた方がもしいらっしゃれば、A君の名誉を回復すべく、この場を借りて僕からお詫び申し上げます。ごめんなさい。でも彼の高校一年生の時の将来の夢はAV男優です。これは本当です。

ということで、振り込め詐欺からエラいところまで話が飛躍しましたが、とりあえず僕の同級生の人、名簿を売らないで下さい(笑)

よく分からない結びとなりましたが、そんな感じでまた次回。