STUDIO44の近況報告

福岡を中心に活動するバンド。愛称はスタヨン。

44前夜、

みなさん、こんにちは。STUDIO44の萩原です。

この度の大震災にて被害に遭われた方々へ、こころよりお見舞い申し上げます。

いろいろ考えたけれど、何を書いていいのか分からないのであえて無関係な話でいきます。

題して、44前夜、個人的プロローグ。

STUDIO44を始める1年くらい前、僕は個人的なドン底の状態にいました。今考えてもこれまでの人生の中で一番しんどい時期だったと思う。

大学時代に一生懸命バイトして買ったギターを駅のコインロッカーで盗まれ、長いことお付き合いしていた女性にフラれ、懇意にしていただいていた音楽出版事務所は倒産し、それこそ人生の道標と呼べるものの一切を失ってしまい、言葉通り途方に暮れていました。

そんな中、必然的に選択肢は2つに絞られ、1つは音楽から一切の手を引いて堅気に戻るか(笑)、はたまた態勢を立て直しもう一度挑戦するか…。

すぐに決められる訳もなく、僕は毎日室見川へ散歩に行き、淀みない川の流れを見ながら、考えても考えても答えの出ない事についてそれでも一生懸命考え続けていました。それしかできる事がなかったから。

そんなある日、ふと何かのキッカケでいつも通っている歩道の、向かいの歩道を通る事があり、そこからいつも自分が通っていた歩道を見てみたら今まで気づかなかったことに沢山気づきました。

例えば、いつも自分の通り過ぎていた郵便局の上って、こんな形をしていたんだとか、普段気づかずに通っていた街路樹で実はこんなに高く枝が伸びていたんだとか。

僕の生きていた世界って、一方的な視点から見ていただけで、それはそういうものと決め付けてたけれど、本当はそうじゃないんじゃないのか。ハッとそんなことに気づいた瞬間でした。

それが僕にとっての啓示というと大げさだけど、直感的に「物事の多面性」を実感した瞬間となりました。

それから、僕のその時置かれていた状況について、もう一度考えてみた時に、これからもう一度挑戦してみてもいいんじゃないのか、とそう思えるようになりました。

あれから10年近くが経過し、これでSTUDIO44が大成功していたら何という美談ということになるのでしょうが(笑)、ご存知の通り実際は成功はしていないです。

セラヴィ。

でもそれでいいと思っています。というと語弊があるかもですが、あの時そのまま別の道を歩んでいたら…たぶん今より世界をカラフルに見れていないんじゃないかと思う。あの時堅気に戻っとけばよかったのに…チッ!と言われるとツラいですけど(笑)だけど世界って間違いなくカラフルですよね。

今回の件と、僕の個人的事情をリンクさせる気は毛頭ないけれど、ただ10年前も10年後も時間は同じように流れるし、流れるスピードも変わらない。それは残酷とも言えるし、ただ考え方によっては今をいつかは過去にしてくれる。谷川俊太郎さんの「これが私の優しさです」という詩に書いてある通りだと思います。一刻も早い被災地の復興をお祈り申し上げます。

そんなこんなでまた次回。