Love @ first sight Vol.2
みなさん、こんにちは。STUDIO44の萩原です。前回、これまでひたすら通い詰めた焼肉屋の女のコが退職予定である情報を耳にした僕ですが、その後どんな行動を取ったか?
そこから話を続けます。
偶然、彼女の退職について知らされた僕は「さて、どうしよう?」と途方に暮れるのでした。
知り合いでもなんでもなく、ただ単に焼肉屋のウェイトレスとそこに通う常連という関係性は、あまりにも脆弱で頼りなく、何の担保にもなり得ず、平行線を辿るまさにパラレルな状況でした。
でも一方で「この機会を逃すと一生会えないかも知れない」という思いが強く残っているのも事実。
いろいろと悩んだ挙げ句、彼女の最終出勤日にお店に行く事にしました。
そしていよいよ最終出勤日。僕は午前中のうちにプレゼントを買いに福岡市中央区天神へ。慰労の意を込めて、ささやかだけれど何か気に入ってもらえるものをと思い、結局セントジェームスで小さなポーチを買いました。
そして、夕方を待って友人2名と焼肉屋へ向かい、いつも通りにいつものように焼肉を注文し、それらを食しました。
当の彼女は、遅めのシフトだったようで、20時過ぎにようやく姿を見せました。何度か僕らのテーブルの付近までは来たのですが、厨房とホールの行き来だけでなくサラダとかデザートといった軽い調理もやったりしていて、多忙を極めている様子。
声をかけるチャンスもなく、ただ時間だけが過ぎていき、閉店時間が迫って来たその時、彼女は花束を手に、いつの間にか制服から私服へ着替えて店を出ようとしていました。同僚に温かい言葉をかけられたのか、その目は涙で潤んでいました。
正直、給仕してもらう時に声をかけようと思っていた僕はかなりの意表を突かれて、戸惑いつつ呆気にとられるのでした。
そこで友人が「行け!」と、本当に言葉通りに背中を押したので、ハッと我に返り急いで店の外へ追いかけました。
彼女はバイクの施錠を解き、ちょうどヘルメットをかぶろうとしていました。
萩原「すみません!」
彼女 コチラに気付く
萩原「僕のこと、顔くらいは分かると思うけど…」
彼女「(若干怯えながら)はい…」
萩原「今日で辞めるって聞いたんで、迷惑かなって思いつつもコレ渡したくて…」
ここでプレゼントを手渡す
彼女「(たぶん引いてる)ありがとうございます…。4月から就職が決まって…」
萩原「焼肉屋に?(今考えると我ながらかなりの愚問)」
彼女「いえ…自動車屋さんに勤めるんです…」
萩原「そうですか…」
(そのまま10秒間沈黙)
萩原「とりあえず、長い間お疲れさまでした。突然声かけて本当にごめんなさい。では気をつけて帰って下さい」
彼女 微笑む
萩原 走り去ると見せかけて、店内に戻る
相手の性格も何も知らない状況で、こんなにも積極的になれる自分にまず驚きつつも尋常ではない緊張からの解放感と、彼女の最後の微笑みにより分泌されたアドレナリンが作り出す高揚感とか入り交じり、変なテンション、興奮状態になってしまい、最終的に春先の博多湾に飛び込もうか(萩原のみ)という誰も得しない、強いて言えばオレが損する案が急浮上しましたが、店を出る頃には、やっぱ風邪引いちゃうという至極真っ当な理由で却下になりました。
その日の出来事はこれで終わり。
実はプレゼントの中に慰労のメッセージと共に、自分のアドレスを書いていたので、後日彼女からメールが来るのですが、これはまた別の話。
そんな感じでまた次回。続く…。